沖縄本島西海岸の読谷村に位置する「むら咲むら」は、琉球王国の歴史と文化に浸りたい人にとって必見のスポットです。単なるテーマパークにとどまらず、伝統工芸、建築の復元、そして壮大な夜のイベントが融合する本物の「生きた文化拠点」となっています。
大きな木製の門をくぐると、訪れる人はすぐに別の時代へとタイムスリップしたような感覚を味わえます。赤瓦屋根の建物、石垣、伝統的な灯籠、そして石畳の小道が、まるで昔の集落を散策しているかのような雰囲気を演出します。この独特な環境は、日本国内で歴史ドラマのロケ地として利用されていました。ドラマ撮影後にこのセットが沖縄県に寄付され、現在の観光施設となりました。


沖縄の工芸と文化を体験する
むら咲むらは、何よりも「学び」と「体験」の場です。ここでは琉球の工芸を学べる100種類以上のワークショップが用意されています。沖縄特有の守り神であるシーサーを自分で作ったり、伝統的な紅型染めに挑戦したり、ガラス吹き体験や古い織機での織物、陶芸などに取り組むことができます。
それぞれのワークショップは、代々受け継がれてきた技を守り続ける情熱的な職人によって指導されます。家族連れには楽しく学べる体験となり、旅人にとっては世界に一つだけのオリジナルな思い出を持ち帰る貴重な機会となるでしょう。
また、園内では伝統舞踊や音楽の公演も行われています。三線(三弦の琉球楽器)を用いた演奏や、太鼓に合わせて踊る勇壮なエイサーなど、沖縄の人々の生活の中で今なお息づく琉球文化を体感することができます。


ユニークな文化拠点:むら咲むらの工芸とイベント
琉球王国の歴史的な集落を再現した景観の美しさに加えて、むら咲むらは真の文化拠点としての魅力を持っています。ここは単なる風情ある散策の場ではなく、沖縄の伝統技術を体験できる多彩な工芸活動や、ランタンフェスティバルや琉球妖怪フェスティバルといった特別なイベントが一堂に集まる場所です。
こうした組み合わせによって、むら咲むらは遺産・創造・娯楽が融合する活気ある空間となり、訪れる人々に本物の沖縄文化を全身で味わえる総合的かつ本格的な体験を提供しています。


昼間のアクティビティとワークショップ(むら咲むら)
スケジュールに従い、事前予約をすることで、むら咲むらでは沖縄の伝統や職人技を体験できる幅広いアクティビティが用意されています。たとえば、伝統的な弦楽器である三線の製作体験に参加したり、藍染めに挑戦したり、手作りキャンドルを制作したり、陶芸ワークショップで自分だけの作品を形にすることができます。



すべての人のための工芸と創作体験
工芸好きの方は、世代から世代へ受け継がれてきたさまざまな伝統技法に挑戦することができます。手仕事だけでなく、この場所では独自の文化的・スポーツ的な体験も提供されています。
子供たちも歓迎されています。多くの手作り体験は子供向けに工夫されており、あらかじめ用意された制作モデルを使うことで参加しやすくなっています。
訪れる人それぞれが自分の作品を持ち帰り、家に残したり贈り物にしたりできる唯一無二の思い出になります。職人によって作られた作品を購入することも可能です。これらは当然ながら高価であり、熟練の技術、手法、そして製作に必要な時間が込められています。
紅型と琉球藍染:
紅型
琉球王国時代に生まれた伝統的な染色技法「紅型」の世界を体験してみましょう。数分で、コースターやランチョンマットのような小物に鮮やかな色彩と伝統的な模様を施し、オリジナル作品を作ることができます。唯一無二の工芸品の思い出として持ち帰るのに最適な体験です。
琉球藍染
深い青や紫の色合いを引き立てる琉球藍染を体験してみましょう。約1時間で、バティックやタイダイに似た技法を用いて、自分だけの模様をデザインし、スカーフやバンダナを作成します。それぞれの作品は異なり、作り手の創造性を映し出しています。


琉球衣装で写真スタジオ体験
伝統的な琉球の着物を身にまとい、オリジナルの写真撮影で訪問を記念しましょう。王や王妃をイメージした衣装を選ぶこともでき、より本格的な体験が楽しめます。撮影した写真はその場で現像され、すぐにユニークな思い出として持ち帰ることができます。
守り神シーサー作り
石こうでシーサーを作る
石こうを使って、自分だけのシーサーを作りましょう。沖縄の伝統的な守り神で、家の門に置かれることが多い存在です。約1時間の体験で、笑顔の守護像を形作り、お守りとして持ち帰ることができます。
陶器のシーサー仮面
陶芸に挑戦し、粘土でシーサーの仮面を作ります。参加者一人ひとりが自由に想像力を発揮し、時には身近な顔立ちを加えて個性的に仕上げることも可能です。工芸と地元の伝説を結びつける創造的で楽しい体験です。
色付き粘土のシーサー
色とりどりの粘土を使って、オリジナルで鮮やかなシーサーを作りましょう。見本を参考にしても、自由にインスピレーションで形を作っても構いません。焼き上げの工程を経て、保護の象徴であり沖縄らしい思い出のフィギュアを持ち帰ることができます。


沖縄カラーのデコレーションキャンドル
星のように輝く砂と小さな貝殻でグラスを飾り、オリジナルの香り付きキャンドルを作りましょう。この楽しく創造的な体験では、海や沖縄独特の雰囲気を思わせる明るく香り豊かな思い出を持ち帰ることができます。
料理体験
黒糖づくり
サトウキビを伝統的な方法で加工し、自分で手作りの黒糖を作りましょう。搾り取ったサトウキビの汁をじっくりと煮詰めて結晶化させ、豊かで本格的な味わいの製品が出来上がります。その後、自分の作品をグルメなお土産として持ち帰ることができます。
サーターアンダギー: 沖縄のドーナツ
沖縄の伝統的なお菓子サーターアンダギー作りに挑戦しましょう。中はふんわり、外は少しカリッとした食感です。赤瓦の家で行われる体験では、生地をこねてから油で揚げます。揚げたてをすぐに味わうことができ、沖縄文化を象徴する甘い一品です。
ちんすこう: 沖縄のクッキー
沖縄の有名なクッキー「ちんすこう」作りの体験に参加してみましょう。小麦粉、砂糖、豚脂を使って作られたこのサクサクとした焼き菓子は、赤瓦の伝統家屋で、石窯を使って焼き上げられます。島を代表する特産品であり、料理と地域文化を結びつける温かい体験です。



空手入門:
空手発祥の地、沖縄でその世界を体験しましょう。
むら咲むらの中心で、地元の指導者からこの古代武術の基本を学ぶことができます。伝統的な道着は現地で借りることができ、琉球の精神を感じさせる本格的な環境の中で体験を存分に楽しめます。



アクアドーム: 小さな海の世界
沖縄版スノードーム「アクアドーム」を作りましょう。ガラスの装飾パーツを選んで、南国の海中世界を再現したり、シーサーのミニチュアシーンを表現したりできます。約1時間で、沖縄の海を思わせる唯一無二の思い出を作ることができます。
デコレーションオルゴール
好きなメロディーを選び、貝殻やさまざまなガラスの飾りで装飾して、自分だけのオルゴールを仕上げましょう。貝殻は好きなだけ追加でき、自由な創作が楽しめます。奏でるたびに、沖縄の陽気な雰囲気がよみがえります。
そのほかにも:
- 三線の製作(三本弦の伝統楽器)
- 日本の模様を施した染織
- 沖縄の伝統陶芸
- 貝殻アートと装飾品
数多くのアクティビティが揃っており、訪れる人の体験は五感で楽しむ参加型の旅へと変わります。家族連れにも、探究心あふれる旅行者にも理想的な場所です。



料金案内
2025年8月時点で、ワークショップの料金は1人あたり1,500円から5,500円以上と幅広く、体験内容によって異なります。たとえば、石膏の置物作りは比較的安価ですが、三線(沖縄の伝統弦楽器)の製作体験は高額になります。
入場料は現在1,000円で、園内への入場のみが含まれています。館内で行われる各種体験は、必要な材料や技法を直接指導してくれる職人へ個別に支払いを行う仕組みになっています。
琉球ランタンフェスティバル
毎年12月から3月にかけて、むら咲むらは「琉球ランタンフェスティバル」に彩られます。5,000個以上の色とりどりのランタンが灯され、会場全体がまるでおとぎ話の世界に変貌します。
夜が訪れると、小路や建物が温かくやわらかな光に包まれます。光り輝く龍や伝統的な風景、自然をモチーフにした装飾などが並び、幻想的で夢のような雰囲気を楽しめます。このイベントは地元の家族連れはもちろん、世界中から訪れる旅行者をも魅了します。
ランタンフェスティバルは単なるイルミネーションにとどまりません。沖縄料理を味わえる屋台やナイトショー、テーマ別のアクティビティもあり、写真愛好家にとっては一年で最もフォトジェニックな瞬間のひとつです。



琉球妖怪:夜に現れる精霊たち
むら咲むらで夏に開催されるもうひとつの大きなイベントが「琉球妖怪フェスティバル」です。
この期間、来場者は琉球の妖怪という特異な世界に触れることができます。妖怪とは、何世紀にもわたり沖縄の物語や信仰に登場してきた超自然的な存在です。神でもなければ慈悲深い霊でもなく、人の姿をとりながらも奇妙さや恐怖、悪戯心を体現し、目に見えない世界が常に身近にあることを思い出させます。
祭りの期間中は、妖怪をかたどった紙灯籠(ねぶた)が園内の小路を照らし、島に伝わる伝説に命を吹き込みます。光と影が交錯する中、訪れる人々は祝祭的でありながら不気味さも漂う雰囲気に浸り、琉球の想像力の力強さを体感できます。
このフェスティバルは、多くの伝説や恐怖的な感覚を好む愛好者を惹きつけますが、家族連れにも開かれています(注:琉球妖怪フェスティバルの期間中、4歳または5歳未満の子どもは怖がることがあります)。



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訪問のヒント
- 営業時間:むら咲むらは日中はワークショップを開催しており、夜はフェスティバルの際にオープンします。
- 所要時間:アクティビティを楽しむには少なくとも2〜3時間を確保し、夜のイベントに参加する場合はさらに余裕を持ってください。
- アクセス:那覇から車で約1時間、レンタカーでのアクセスが便利です。
- 対象:家族連れ、文化愛好家、写真家、そしてユニークな夜のお出かけを求める旅行者におすすめです。


周辺の見どころ:残波岬と読谷サンゴファーム
むら咲むらを訪れた後は、読谷村の自然の宝を探索せずに立ち去るのはもったいないでしょう。特におすすめのスポットが2つあります。
残波岬(ざんぱみさき)
車で数分の場所にある残波岬は、沖縄でも屈指の断崖絶壁です。岩が連なる岬からは、コバルトブルーの大海原を一望することができます。海岸線を見渡す白亜の灯台は象徴的な存在で、内部を見学することもでき、荒々しい海岸線を眺められます。
夕暮れ時の残波岬は特に幻想的で、多くの訪問者や写真愛好家が集まります。家族連れには、隣接する大きな公園でピクニックや遊びが楽しめ、さらに高さ9メートル近くある巨大なシーサー像も見どころです。


読谷サンゴファーム
もうひとつのユニークな訪問先が「読谷サンゴファーム」です。世界でも珍しい施設であり、汚染や地球温暖化によって損なわれたサンゴを保護し、植え直すことを使命としています。訪問者はサンゴの養殖技術について学んだり、環境問題を理解したり、教育的なアクティビティに参加することもできます。
この体験は、文化と自然をつなぐ一日の締めくくりに最適です。むら咲むらで歴史的世界を探索した後、沖縄の貴重な海洋自然遺産を守ることの大切さを実感することができるでしょう。
読谷サンゴファームの記事を読む


さらに深く知る:むら咲むらの没入型ビデオ
- ランタンフェスティバル期間中のむら咲むら:光り輝く龍やきらめく小路に囲まれた、幻想的なイルミネーションの中を巡る没入型の散策。
- 琉球妖怪フェスティバル期間中のむら咲むら:精霊や伝説の生き物と出会う神秘的な夜の体験。
これらの動画は、私の Japan Okinawa Daily Life チャンネルでご覧いただけます。イベント特有の雰囲気を体感でき、旅行計画をより豊かにしてくれるでしょう。
むら咲むら周辺の食事・宿泊・アクティビティ
宿泊とパークへの直結アクセス
むら咲むらには同名のホテルが隣接しており、宿泊客は無料かつ便利に園内へアクセスできます。この特典には、昼夜を問わず開催されるフェスティバルへの入場無料も含まれており、文化的かつ祝祭的な雰囲気を存分に楽しむことができます。時間に制限なく体験できる貴重なメリットです。
ショップと駐車場
園の正面には大きなお土産ショップがあり、訪れる人々を迎えています。その背後には広々とした無料駐車場があり、車での来場に便利です。季節によっては、特に夏の期間、駐車場の奥がカート場に変わり、家族連れや若者にとって、さらに楽しいアクティビティが追加されます。


レストランと地元の工芸
ホテル横の道路からむら咲むらを出て、終点手前を右に曲がると、海岸沿いに多彩な食事処が並んでいます。アメリカ風バーガー、食べ放題のピザ、沖縄名物のタコライスなど、さまざまな料理を味わうことができます。
同じエリアには職人工房もあり、わずかな料金で陶芸やガラス吹きに挑戦できるワークショップを体験することができます。食の楽しみと文化体験を同時に味わえる絶好の機会です。



サンゴファームとニライビーチ
海岸沿いの道をさらに進むと、海洋生態系の保護に取り組む「サンゴファーム」に到着します。この施設については別の記事でも紹介しています。
その少し先、最初のホテル前の駐車場には、小さな目立たない階段があり、そこから有名なニライビーチへと続いています。白い砂浜と透き通るような海で知られるこのビーチは、地域でも特に人気が高く、むら咲むらでの一日を締めくくるのにぴったりの場所です。
ダイビングセンター
むら咲むら周辺にはダイビングセンターもあり、海中探索を楽しみたい人に理想的です。初心者から経験豊富なダイバーまで、沖縄ならではの色鮮やかなサンゴや熱帯の生物多様性に満ちた特別な海の世界を体験できます。文化、ビーチ、そして海を組み合わせて楽しむ絶好の方法です。



乗馬体験
むら咲むらの近くでは、海岸沿いで乗馬を楽しむこともできます。このアクティビティは、沖縄の海の風景をリラックスしながら体感できる方法です。初心者から経験者まで幅広く対応しており、自然・癒し・家族での冒険を組み合わせた素晴らしい体験ができます。
私の意見
フェスティバルの期間中、むら咲むらは旅行計画に必ず入れるべき場所だと強く思います。
冬のランタンフェスティバルでも、夏の琉球妖怪フェスティバルでも、園内は昼間とはまったく異なる特別な雰囲気に変わります。これらのイベントは地元の伝統を鮮やかに蘇らせ、幻想的な光と神秘的な伝説の間で忘れられない感覚体験を提供してくれます。
もしこの時期に沖縄を訪れるなら、文化的な本物らしさと賑やかな夜の魔法を味わえるむら咲むらは、必見のスポットです。



残波岬の雄大な自然美やサンゴファームの環境保全への取り組みと組み合わせることで、むら咲むらへの訪問は沖縄が持つ魅力の凝縮版ともいえる体験となります。伝統、自然、そして想像力――そのすべてがここにあります。
文化に情熱を注ぐ人も、伝説を愛する人も、または家族でユニークな時間を過ごしたい人も、この再現された村はきっと驚きと感動を与えてくれるでしょう。

琉球妖怪フェスティバル期間中にむら咲むらで撮影された動画。沖縄の民間伝承に登場する妖怪や精霊に捧げられています。
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